石津謙介さんはVANの創始者で、ファッションではなくライフスタイルというスタンスで服飾を捉え大成功された方。
なかなか洒落ているが所詮老人の戯言。
つまり、このブログと同様なのだ。
私の場合は石津さんのような成功者ではないのでいささか日和見的だ。
しかし、この著作を遺書とズバリ言い放つ豪快さというか奔放さはいい。
たぶん、80才を過ぎたエッセーなんだと思うが独善的だが常識をワキマエテいる。
引用は孔子の言葉から始まる。
彼は3度、無一文になったと言う話。
実家の事業閉鎖、大陸から帰郷、VANの倒産。
彼の言う、無一文は一般的とは違うが戦後の引揚者の時だけは金銭的に無一文のようだ。
あとの2つは個人財産を失ったという意味ではなく収入を失ったということ。
VANの倒産は結構、衝撃的だった。
イケイケの戦後経済で裕福になりつつあった国民は子息には果てしなくつぎ込んだ時代。
つまり、私の両親も含め、子どもたちの為に働き元気だった時代。
その恩恵を団塊の世代はバカスカと受け止めそんな親の思いを満たすために金を使い、楽しんで見せ、親を喜ばせたと思う。
石津さんはそれに乗ったわけだが、放漫経営というか彼の遊びココロに利益をつぎ込む。
確かにライフスタイルを変えろとは言いがたかったんだろう。
頑なに拘った、アパレルなんてそんなものなんだろう。
元々、日本文化ではなく、英国の影響を受けた米国文化を持ち込んだだけだから。
ヨーロッパ文化だってあるわけで、みんな押し寄せてきたわけだ。
VAN-JACがひとつのブランドだけなら小ぢんまりと生き延びたかもしれない。
凄いのは彼のネーミングだろう。
例えば、TPOという言葉を生み出し服の着こなしだけでなく社会現象になった。
トレーナーというスェット製品。
共感できるところもあるが浮世離れしたところもある。
さて、内藤幸穂氏は我が関東学院理事長としてマネージメント手腕の優れた方だった。
とてもダンディーで石津氏と比べても遜色ないセンスの方だった。
お父さんがあの「星の王子さま」の日本語著者で学者一家。
東大卒業後、中央大学教授から関東学院大学教授になられ、理事長を務めた。
彼はオックスフォード大学との提携をし学生交流契約を結んだ。
オックスフォード大学ラグビーのブルーになった選手もいる。
ラグビーを中心に全国紙にその名を轟かし、横浜のお坊ちゃん大学を全国区に。
そんな彼が隠居してもなお、執念を燃やしたラグビー。
これを読むと関東学院大学よりもラグビーが好きなんだなあとつくづく思う。
関東学院大学ラグビーといえば春口監督がひとりで築いたように書かれる。
実際は内藤理事長がバックアップして日本一というのが事実だろう。
スポーツというのはスポンサーが居なければ成り立たない。
特に学生スポーツは学校法人の惜しみない財政援助がなければ現代は強く成れない。
今の大学ラグビーは帝京大学一色。
これは岩出監督じゃなく、選手を根こそぎ集める財力のお陰だ。
監督の仕事は選手を見張ることで才能ある選手が勝ってくれる図式なわけだ。
関東学院大学の凋落について書かれている。
当然、大麻事件で致命的に墜落するわけだが、単純に監督が仕事をしなかっただけ。
つまり、選手をまとめあげる、教育することが出来なかったということだろう。
ラグビーを教えることは出来てもマネージメントが出来ないということになる。
何故そうなったのか。
内藤先生はコーチ育成が出来なかったことを上げている。
出来なかったというより人間関係を作れなかった。
大学ラグビーは家族のような気がする。
監督、選手の間を繋ぐコーチを顎で使うようなことで辞めていってしまうのだろう。
理由はあるだろうがやはり人間関係は上下関係だけではなく愛情だ。
去っていったコーチのひとりが選ばれ今季から監督になった。
そして、春は着実に進歩しているので結果が期待できる。
それを内藤先生は天国で見ている。
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